豊浦正明はボンデッジ・フォトで独自の世界を切り拓き話題を集めると同時に、フェティッシュでみずみずしい少女人形や翼の女たち<エンジェル>などの幻想的な被写体もモチーフとして積極的な創作活動を展開している写真家である。現在、気鋭のボンデッジ・ヌードカメラマンとして国内だけでなく海外でも評価を受けている。
豊浦はボンデッジというともすれば理解され難いジャンルの写真を撮り続けている、しかし豊浦のテーマはボンデッジではない。世間的にはボンデッジ写真は作家本人がが特異な人間性を持ち合わせていると思われやすい。だが豊浦はあくまでも自己の美を純粋に追求しているに過ぎず、世間的に思われる様な特異な趣味趣向を持ち合わせている人間では無い。
豊浦の作品の中では被写体となる女達はみな個としての存在を否定し、あくまでも“物質”としての女として存在している。それは、豊浦の被写体に対する距離を持った視点からきているのだろう。しかし、そうして個人の意味性をはぎ取った“女”を表現することで浮かび上がっているのは、胸が苦しくなる程の艶かしさであり、豊浦の“女”という存在に対しての愛情である。だから豊浦の表現するボンデッジの世界は鮮烈で魅力的なのである。豊浦の作品に立ち向かうと、暗い画面の中で浮かび上がる官能的な“女”という存在に手を伸ばしたく、また、もっとそこにある世界に近づきたくて彼の作品の前から逃げられなくなり魅入られてしまう。そして豊浦はそれを表現できる数少ない作家である。
豊浦が94年に制作した作品の集大成として180点の作品を納めた豊浦正明のCD−ROM作品集「黒い標本」--はKIKKOUに立ち寄った皆様には是非御覧になって頂きたい。豊浦の切り拓いた独自のボンデッジの世界を堪能出来る一枚である。
| 「黒い標本」 | 定価:\6,800.(税込) |
| | 発売:フジヤマ計画 | | お問い合わせ先 | TEL03-3954-4091 |
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